建築士&整理収納アドバイザーの大西めぐみです。ご覧いただきありがとうございます。
家事をしない夫が知らぬ間に決めていた間取りが原因で、ワンオペでの家事・育児・仕事の両立難易度が鬼畜レベルな事を逆手に取り、家事効率がよく自分時間を楽しめる家の仕組みづくりをサポートしています。
家を建てるとなった時、わずかな広さの違いで暮らしやすさに直結する場所は玄関。
ずっといる訳ではないし…と玄関を狭くすると後悔することになるかもしれません。
広さ別の使い心地について、画像を使って解説していきます。
玄関が狭いと後悔する理由
住む人数や価値観によって、快適な玄関の広さは変わってきますが、狭いと次のような理由で不便を感じやすくなります。
散らかりやすい

玄関は家の外と中をつなぐ場所。そして、家族全員が使います。
つまり、外で使うものと家の中で使うもの×家族の人数分と、物が集まりやすいエリアです。
- 靴
- スリッパ
- アウター
- レインコートや傘などの雨具
- ボールやスケボー等の外遊び用品
- ベビーカー
- 虫よけ
玄関が狭いと充分な収納の確保が難しいです。また、家族の人数分の靴が並んでいるだけでも土間が埋まり、ごちゃごちゃと散らかっているように見えてしまいます。
そんな玄関では、来客時に恥ずかしさを感じたり、「やば…!」と慌てて片付ける羽目になったりと、広さがあれば気にもならなかった問題が浮かび上がってくるかもしれません。
せっかく揃えた靴をうっかり蹴飛ばして、ちょっとイラっとする…なんて事もあり得ます。
混雑する

さらに、狭い玄関は、物だけでなく人まで混雑します。
玄関を使うタイミングは意外と重なるもので、幅が狭いと、前の人が靴を履き終わってどくまで次の人は並んで待つことになります。
慌ただしい朝は「早くどいて~!」とやきもきし、小さなお子さんに靴を履かせるサポートもやりづらさを感じるでしょう。
子育てや介護のサポートがしづらい

老後に車いす生活になった場合、お出かけの時に室内用から室外用に乗り換えることがあります。玄関にゆとりがないと、その乗り換えを外ですることになりますし、介助する側も充分に広さのない場所での補助は地味に辛いです。
ベビーカーを使う時期も同じです。ただでさえ荷物の多い子育て期。玄関でベビーカーを広げたら土間がいっぱいに…なんて広さだと、玄関から出るのも大変です。
ちょうどいい玄関の広さは?
玄関の広さは、「たたき(玄関の土間)」「玄関ホール」「収納スペース」で構成されています。
一般的には、戸建てでは3畳が標準と言われていますが、これはあくまで“目安”の数字。家族の人数や家の広さ、ライフスタイル、趣味や持ち物の量によって、自分にとって使いやすい広さを決めていきましょう。
例えば、アウトドア好きでキャンプ道具が多い家族と、靴と傘しか置かないシンプル派の家族では、必要な玄関の収納量も全く違いますよね。大事なのは、数字に縛られるのではなく「自分たちが気持ちよく使える広さ」に調整していくことです。
広さ | 人数 | 収納 |
---|---|---|
2畳 | 2~3人 | あまり取れない |
3畳 | 3~4人 | 靴箱で収納を取れる |
4畳 | 3~4人 | シューズクロークが作れる |
4.5畳~ | 5人~ 車いす利用者 | ウォークスルー収納が作れる |

ここからはそれぞれのスペースを、実際のイメージが湧きやすいように3D画像で見ていきましょう。
2畳の玄関


2畳の広さはこれくらいです。靴箱の厚みを40cmとすると、幅は約130cm。大人2人が並んで靴を履けるくらいの広さです。靴箱の横幅は約86cm。大人2人と小さい子どもの3人分くらいの靴なら収納できます。
ただ、靴箱に入らないサイズの物(アウトドア用品等)別の置き場を考える必要があります。また、ベビーカーを広げるにはちょっと狭く、置いたままだと塞がれて玄関から出入りしにくいです。
3畳の玄関


こちらは3畳の玄関です。間口は先ほどの2畳の玄関と同じですが、奥行がしっかり確保されているため、ゆとりを感じます。
靴箱も120cmの大きいサイズが設置でき、シーズンオフの靴や来客用スリッパまで入りそうです。ベビーカーの向きを変えれば塞がれることなく出入りできるでしょう。


こちらは2730×1820mmの同じ3畳でも横長タイプ。土間とホールを横に広く取れますので、家族みんなでよくお出かけするなら、こちらの方が使いやすいかもしれません。
たたきに置ける靴箱は2畳の玄関と同じ約86cmのサイズ。
靴の収納量を重視するなら縦長、家族で並んで靴を履く動きやすさを重視するなら横長…というふうに、靴の多さやライフスタイルに合わせて形を選ぶと良いでしょう。
4畳の玄関


画像は正確には3.75畳ですが、4畳にもなるとぐっとゆったり広い印象になります。
間口はやや狭くなりますが、靴箱を1歩入るウォークインタイプの土間収納にすることも可能です。そこにベビーカーや外遊び用品などの大きい物をしまえば、すっきりとした玄関にできます。
4.5畳の玄関


4.5畳にもなるとかなり余裕のある空間になります。
靴箱を置く代わりに、通り抜けられるウォークスルータイプの土間収納を作ることも可能。テントや寝袋など、大きめのアウトドアグッズも余裕でしまえそうです。
将来、自宅で介護となった時でも、車いすでの出入りはもちろん、腰掛けベンチの増設も柔軟に対応できる玄関です。
余談:我が家の狭い玄関

マンションは戸建てに比べて一般的にコンパクトになりがちですが、我が家の玄関も例にもれず狭く、たたきの面積は0.7畳、ホールの幅は96cmです。
毎朝の登園・通勤時には渋滞が発生し、「10秒で履いて!」「履いたらすぐに外に出て!」と追い立てるような声掛けをせざるを得ない状況です。
また、シューズクロークは土間の向こう側。ゆえに、常に靴を取りに行くための靴が置いてあり、ベビーカーにその靴を巻き込んではイライラする…なんて事がしょっちゅうでした。
人数や暮らし方に合わない玄関はストレスの原因になりますので、これから家を建てる方には、ぜひ自分にとって使いやすいサイズをしっかり検討してほしいと思います。


保育園児の娘にとって、フラットな床だと立っても座っても靴を履きにくそうにしていましたので、自分で上手に履けるように子供用のイームズチェアを置きました。
間口はさらに狭くなりますが、真ん中をずーーーっと占領されるよりはマシかな…と(せっかちオカンです)
まとめ
新築戸建ての玄関の標準サイズは3畳です。そこから家族の人数やライフスタイル、延床面積に合わせてちょうどいいサイズを見つけていきましょう。
玄関が狭いと、こんな悩みが出てきます。
- すぐ散らかってしまう
- 混雑する
- 子育てや介護のサポートがしにくい
家族みんなが使う場所だからこそ、気持ち広めにしておくと、毎日快適に過ごせますよ。
今回の記事に載せているような3Dパースを使った間取り相談をやっています。図面だけでは気付けなかった事が手に取るように分かったと好評です。「このまま進めていいのかな?」と不安な方は、ぜひ悩みをぶつけてくださいね。

大阪・八尾の家事ラク動線&収納デザイナー 大西めぐみ
「この間取りの改善するところは?」「心地よい部屋でゆったり過ごしたい」整理収納アドバイザーでもある女性建築士が、楽ちん家事動線&片付く仕組みを盛り込み、暮らしやすい家づくりをサポート!
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